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おどりば

ロースペックうつ病患者のブログ。寛解をめざして!

新型うつは甘えじゃない!現役うつ病患者が全力で反論する。

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こんにちわ、サユです。

 

「新型うつは甘え」

誰しもが一度は聞いたことのあるフレーズなのではないでしょうか。

今回は、この「新型うつは甘え」論に、現役うつ病患者が全力で反論したいと思います。

だって、甘えだなんて言われたら、「新型うつ」と診断されて苦しんでいる人があまりにも救われないじゃないですか!

 

私も、初期の症状は「新型うつ」と言われるものでした。ですが、発症から15年経った現在、「新型うつ」と「従来型うつ(いわゆる普通のうつ病)」が合体してしまったような病状に悩まされています。うつ病の症状ってかなり個人差あるんですよ、十把一絡げにしてどうこう言えるもんじゃないんです、本当はね。

自分の経験を踏まえて、「新型うつ」について私なりの考えを述べさせていただきます。 

 

 

 

「新型うつ」はメディアが作った蔑称である!

まず、「新型うつ」という病気が医学的には存在しないということを知っておいていただきたいです。

「新型うつ」と呼ばれているのは、医学的には「非定型うつ」という種類のうつ病の症状です。「非定型うつ」は、紛れもなく「うつ病」の一種であり、れっきとした病気です。

 

「非定型うつ」は、その名の通り、従来のうつ病のパターンに当てはまらないタイプのうつ病です。その最大の特徴は「嫌な事はできないが、楽しい事ならできる」ということです。

仕事に行けないのに、遊びには行ける。学校には行けないのに、ゲームならできる。……など、端から見たら「ただのサボり!甘え!」としか思えない状態になります。

この「ただのサボり!甘え!」という、周囲の視点と強く結びついた用語が「新型うつ」です。患者本人は本当に苦しんでいるのに、「新型うつ」という言葉からはその苦しみがちっとも伝わってこない。患者に対する思いやりも感じられない。

「新型うつ」という呼び名自体が、本当に非定型うつ病で苦しんでいる人を追い詰めるためにあるとしか思えないんです。

よって、私は「新型うつ」を蔑称であると判じます。

 

以降、特別な意図がない限り、「新型うつ」ではなく、「非定型うつ」という名称を使って、この病気についての説明をさせていただきます。

 

 

 

「新型うつ」の正体

まず、「新型うつ」と呼ばれているものの特徴を挙げてみましょう。

1. 若年者に多く、全体に軽症で、訴える症状は軽症のうつ病と判断が難しい。

2. 仕事では抑うつ的になる、あるいは仕事を回避する傾向がある。ところが余暇は楽しく過ごせる。

3. 仕事や学業上の困難をきっかけに発症する。

4. 患者さんの病前性格として、“成熟度が低く、規範や秩序あるいは他者への配慮に乏しい”などが指摘される。

うつ病Q & A | 日本うつ病学会

私はこれを見て、「要するに軽度の非定型うつ病か、双極性障害だな」と思いました。

患者の病前性格の成熟度が低いのは、「若年者に多い」という点を考えれば何の不思議もないことでしょう。非定型うつ病になった若者を集めて調査すれば、「新型うつ」という新しいカテゴリーの完成というワケです。

 

「新型うつ」と言われてしまう人の中には、ある程度の割合で双極性障害の方も含まれているものと思われます。今回はうつ病の話がしたいので詳細は省きますが、「新型うつ」の所為で双極性障害であるという診断が遅れるのだとしたら、それは患者の人生にとって大きな不利益です。

現在、双極性障害の診断には長い時間がかかってしまっています。うつ病双極性障害を高精度で判別する手法が、1日も早く確立されることを願っています。

 

 

非定型うつ病の特徴「気分反応性」

「新型うつ」の正体が軽度の非定型うつ病だということがわかったところで、非定型うつ病の説明に入りましょう。

非定型うつ病は間違いなく病気です。うつ病の一種です。しかし、「サボり!甘え!怠けてるだけ!」という誤解を非常に受けやすい。

それは、この病気の最大の特徴が「気分反応性」だからです。

 

仕事に行こうとすると気分が落ち込んで何もできなくなる。けれど、友達から遊びに誘われると途端に気分が晴れる。これが「気分反応性」です。

従来型のうつ病の場合、遊びに誘われても気分は落ち込んだままです。何も楽しいことがない、楽しいと感じることさえできない状態になります。

 

 

「気分反応性」は、周りからなかなか理解してもらえない症状です。実際に説明するのもとても難しいです。しかし同時に、患者本人にも理解することが難しい症状です。

具体例として、私の体験をお話ししましょう。

 

私がうつ病になった時、最初の症状は「学校に行こうと思うと体が重くて動かなくなる」というものでした。誰よりも先に、私自身が「これってただのサボりじゃん?!」と思いました。

でも、どうやってもダメなんです。どうやっても体が動かなくて、布団から起き上がることができない。学校を欠席することを決めるまで、どうして学校に行けないのかと自分を責めて責めて苦しみました。

しかし、学校を欠席することが決まると、途端に起きあがれるんです。せっかく休んだんだから遊んでしまえ!と、ポケモンをやり込んで、色違いをたくさんゲットして喜んでました。

夕方になると、「明日学校に行かなくちゃ…」という思いが頭をよぎります。すると、また気分が落ち込んでくる。そんな自分が嫌でたまらない。今日サボってしまったことへの罪悪感も募ってくる。そして翌朝、また体が動かない。

 

本当にワケがわかりませんでした。自分はいつからこんな怠け者になってしまったのかと、愕然としました。うつ病だと診断されて、薬を飲み始めてからも、長い間私は自分のことを「ただの怠け者なんじゃないか」と疑い続けていました。

自分が病気であることを受け入れず、「自分は甘えている」と思い続けたことによって、私の病状は確実に悪化しました。

 

楽しいときに元気になって、嫌なときに気分が落ち込むのは普通のことです。でも、健康な人は、気分が落ち込んでも、「これで逃げたら甘えだ!」と思えば、頑張れるんですよ。

誰よりも自分が「これじゃただの甘えだ!」って解っている。自分を責めている。でも、どうにもできない。それが「気分反応性」です。

そして、自分でも十分に解っているのに、周りから「甘えじゃないのか?」と言われるのが、非定型うつ病の、一番ツライところです。

 

思うようにならなくて苦しい時に、楽しい誘いがあったら遊びに行きたくなる気持ちが私にはよくわかります。なんとか現実逃避しないとやってられないんですよ、本当に。

 

非定型うつ病のもう一つの症状である鉛様麻痺については、こちらの記事に詳しく書きましたので、よろしければご覧ください。

www.sayulog.com

 

 

「新型うつ」の誤解に反論する!

「新型うつ」の特徴として挙げられているものの中に、これがうつ病と関係あると思われたくない!!というものが時々混ざっているので、いくつか反論したいと思います。

 

新型うつになる人は性格に問題が有る?

そんなことはありません。

うつ病は「几帳面で真面目で責任感の強い人がかかる病気」とされてきましたが、それは患者の年齢層が高かったことと関係があると思います。最近では、社会の変化、労働環境の変化により、若者がうつ病になるケースが増えました。そして、非定型うつ病になった若者を「新型うつ」というくくりに入れているワケです。

順番が逆です。若者の性格が未成熟なのは当然のことです。それを「新型うつの患者は〜」という風にまとめてしまうのは、極めて不正確な判断です。

「新型うつになる人は性格に問題がある」と言うのは「近頃の若者は性格に問題がある」と言うのと同じようなことなんですよ。

 

新型うつ病の患者は自分の病気を隠さない?

これは単に近年うつ病がポピュラーになったことが理由です。

メディアのおかげでうつ病の認知度が高まり、精神科や心療内科を受診することへの抵抗感が昔と比べるとかなり薄れています。ネット上で自分がうつ病であることをオープンにする人はもはや珍しくありません。

私がうつ病になった15年前と比べても、かなり変わったなぁと感じています。

新型うつ病の患者が自分の病気を隠さないのではなく、うつ病を隠すこと自体が時代遅れなんです。

 

新型うつ病の患者は自分がうつ病であることをアピールする?

これはうつ病とは関係ありません。個人の承認欲求の問題です。

ただ、うつ病になると、自分で自分を肯定できなくなるので、周囲に自分をアピールする材料が何もなくなります。自分がうつ病だっていうこと以外に、取り柄も、自慢できることも、何もなくなっちゃうんです。

そうなった時、「自分を認めてもらいたい!自分を知ってもらいたい!」と思ったら、自分がうつ病だっていうことをアピールするしかないですよね。

私も「私はうつ病です!」って言いながらブログをやっています。

 

新型うつ病って仮病なの?

仮病じゃありません。間違いなくうつ病です。ちゃんと病院で「うつ病」と診断されます。

ただし、「新型うつ」という病名は存在しません。

 

新型うつ病は薬じゃ治らない?

この考えには「新型うつは病気じゃないんだから薬が効くわけがない」という意見が見え隠れしますね。

薬で必ずしも治らないのは「新型うつ」だろうが「従来型うつ」だろうが変わりません。薬だけでうつ病からの完全復活を遂げる人は少数派です。

ちなみに、探してみたところ、非定型うつ病と従来型うつ病では特効薬が違うとする見解もありました。ですが、非定型うつ病に効くとされている薬について調べたところ、1960年には日本国内からほぼ絶滅していました。副作用が大きいことが原因であるようです。

後続の薬が生まれていないところをみると、うつ病と名のつく病に関しては現在流通している抗うつ薬で十分に対処できるということなのでしょう。

 

まだ何か気になることがある方は、こちらの記事に非常にわかりやすく説明されているのでオススメです。

synodos.jp

p-shirokuma.hatenadiary.com

 

 

そもそもうつ病って甘えなんじゃないの?

最後に、「うつ病は甘えじゃない」ということを主張させてください。

 

うつ病にはいくつか診断基準があるのですが、今回はその中のDSM-5といううつ病の診断基準を例に出しましょう。

全9項目で、「いくつ当てはまるか」によってうつ病かどうかを診断します。

 

  1. 抑うつ気分
  2. 興味または喜びの著しい低下
  3. 食欲の増加または減少、体重の増加または減少(1か月で体重の5%以上の変化)
  4. 不眠または過眠
  5. 強い焦燥感または運動の静止
  6. 疲労感または気力が低下する
  7. 無価値感、または過剰・不適切な罪責感
  8. 思考力や集中力が低下する
  9. 死について繰り返し考える、自殺を計画するなど

 

……これだけだと、「生きていればそんなこと誰にだってあるじゃん!」と言いたくなる人がいるはずです。

確かに、これらの項目を一つずつ見ていったら、誰にでも普通に起こり得ることですよね。この診断基準だけ聞いて「それで病気とかwww」と思っている人がいたら、ここでその誤解を解いていってください。

 

ただ当てはまるだけじゃダメなんです。

うつ病」という診断を受けるためには、この9項目の中の

  • 「5項目以上(1と2のいずれかは必須)」が
  • 「ほとんど一日中」
  • 「二週間以上継続して」存在し
  • 「社会的・職業的に障害を引き起こしている」

ことが必要なんです。

……とても普通の状態ではないということ、おわかりいただけますでしょうか。

 

加えて、うつ病患者は、理由もなく落ち込みます。何も起こっていなくても悲しくて苦しくて落ち込みます。

健康な人は、うつ病患者が会社を休めば「あいつ休みで羨ましい!」と思うかもしれませんが、うつ病患者は会社を休んでもちっとも楽じゃありません。心休まるということがないんです。それが健康な人には理解できないため、「甘えだ」という判断につながるのだと思います。

うつ病患者が苦しんでいる姿は、ほとんど人の目に触れることはありません。

 

うつ病がひどくなると、意識がある限り苦痛です。自分の意思と関係なく気持ちが沈み、波打ち、高ぶり、そんな自分の感情に振り回されてヘトヘトに疲れてしまいます。自分は生きている限り苦しみ続けるのだ、という絶望感に襲われることもあります。

この苦痛を健康な人にわかってほしいとは思いません。こんな苦痛は知らない方が幸せです。

けれども、うつ病患者の苦痛を思いやることはしてほしいと思うのです。うつ病は特殊な病気ですが、病気で苦しんでいる人を思いやることならば、誰にでもできることですよね?

「甘えだ」と断じて、そこで終わらせないでほしいです。

 

 

新型うつは甘えじゃない。

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私は非定型うつ病が悪化した結果、非定型うつ病に特有の「鉛様麻痺」で体が動かないのに「気分反応性」は無い、という悲惨な状態になりました。

非定型うつ病人にとって、楽しいことを楽しめるというのは最後の希望なんです。それすらなくなって、何度世界は真っ暗闇だと思ったことでしょう。

 

「新型うつ」を「甘え」だと言って悪化させてしまうと、私のようになります。うつ病になってから15年経ってもまだ社会復帰には程遠い、人生で一番輝かしい10代〜20代の時期を棒に振って、現在2級の障害者手帳を持っている私のようになります。

「新型うつ」は絶対に甘えなんかじゃない。

ちゃんと治療してください。休ませてあげてください。認めてあげてください。